「あの人の言うことがイマイチ理解できない」
「なぜか自分の言葉がうまく伝わらないような気がする」
そんなことってありませんか?
もしかしたら、それはあなたが「本当の自分」を知らないことが原因で起こっていることかもしれません。
今回は「なんかうまくいかない」という漠然とした悩みを解消してくれる書籍を紹介します。『「本当の自分」を見つけて武器にする』です。
なんとなくモヤモヤする人に、それらを解消するヒントをくれる書籍です。
今回は、本書の内容をざざっと紹介します。
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本当の自分を知らないとうまくいかない理由
第1章では、自分の提案がうまく通らない、他人にうまく指示が伝わらないなど、具体的なケースに触れながら「本当の自分を知る意義」について論じられています。
本当の自分を知る意義とは
「自分を知ること」でどういう悩みが解消できるのでしょうか。
筆者は以下のように主張します。
自分なりに頑張っているのに、壁を感じたり、受け入れてもらえないことが続くと自信もなくなってきますし、モチベーションも落ちてきます。
「頑張っているんだけど、認めてもらえていない気がする」
「なんか周囲とノリが合わなくて孤立してしまう」
そんな漠然とした悩みを解消するヒント。それを本書では知ることができるようです。
本書では「エマジェネティックス」という分析手法を用いて自己分析を進めます。
自分の個性を知って、それを使いこなしていくことを目的としたエマジェネティックスは、あなたにふさわしい壁の乗り越え方、仕事や勉強の仕方、周囲への効果的なアピール方法を教えてくれます。
自分と他人の違いを知って、それを武器に変えていくのがエマジェネティックスなのです。
エマジェネティックスとは、脳科学とプロファイリング研究によって生み出された分析の手法です。
この手法によって、自分や他人の「思考スタイル」の違いを知ることで、漠然としたモヤモヤを解消していけるんだぜ!!と筆者は主張します。
思考スタイルの違いを把握する
本書では、様々なケースで思考スタイルの違いを説明しています。
一例として、部下が上司に新商品の提案をしているケースが紹介されていました。
部下「この商品は今までのものとは違い、使いやすさが画期的に向上します!他社にはないのでヒットすると思います!」
上司「そういう商品って、今までやったことなかったけれど、その辺のリスクはどうフォローするの?ヒットするって根拠はどこにあるの?」
部下「今までなかった商品だから期待できるじゃないですか!斬新なアイディアでしょ!」
上司「そういえる根拠を聞いてるんだけど。他にも技術的な問題もクリアしているの?」
部下「(う、うるせー!!根拠とかいいからアイディアみてくれよ!!!)」
なぜこの部下の提案が通らないのか。ヒントは思考スタイルの違いです。
思考スタイルは、右脳派・左脳派と偶像脳・抽象脳の組み合わせによって、4つに分類されます。
- 左脳派で、抽象脳派である分析型。
- 左脳派で、偶像脳派である構造型。
- 右脳派で、偶像脳派である社交型。
- 右脳派で、抽象脳派であるコンセプト型。
これらにはそれぞれ別の特性があります。それについては後で述べるとします。
先回りすると、先ほどの上司と部下は思考スタイルが違いました。
上司は、根拠や数字を重視する分析型。
部下は、発想力豊かなコンセプト型。
発想に自信があり、企画の真新しさを前面に押し出してプレゼンを行った部下。それに対して、反応がイマイチだったのは、部下が分析型の上司が重視する「根拠」「数字」に対して、疑問を解消できなかったからでしょう。
違いを意識せず、「相手も自分と同じように考えるだろう」という前提で物事を進めようとしてもコミュニケーションにギャップが生まれるのは当然なのです。
あなたも相手も間違っているわけではなく、それぞれが相手と違う捉え方をしているだけ。(中略)
つまりは、「自分の強みを知って、相手の強みを知り、相手が物事をどのように捉える人なのか」がわかれば、もっと上手に物事に対応できるはずなのです。
自分の強みに無自覚なまま、闇雲にやっていても、お互いストレスを感じるだけ。
そうではなく、自分と他人の強みを正確に把握し、相手と自分の間にうまく橋をかけることで、物事が好転することもあるのだそうです。
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自分を変える必要はない
第2章では、エマジェネティックスのルーツに触れつつ、本書のメインとなる主張が書いてあります。
「脳科学に基づき、人の思考と行動の特性を分析し、強みを明らかにする」
これが、ごく簡単なエマジェネティックスの定義です。別の言い方をすれば、エマジェネティックスは自分の強みを伸ばす――つまり「あなたが、今のあなたのままで、あなたの特性を活かす」ためのツールであるということです。
よく自己啓発本では「自分を変えなさい」と書かれています。
今までを否定し、新しい自分を完成させることに価値を見出している人も多いと思います。
評価されない自分を変える。ダメな部下を変える。弱みを克服する。など「変化」を促すものが多くあります。
しかし、本書では筆者はこう主張します。
「変わるな」「そのままであれ」。
人にはそれぞれ、すでに持っている特性があります。それは遺伝であったり、今までの人生経験によって培われてきた貴重なものです。それの短所に目を向けて、今から変わろうと模索しても、なかなか難しいようです。
ならば、自分が今持っている特性を有効活用すること。それに専念し、短所はそれを得意とする人に補ってもらった方がいい。と筆者は主張します。
今の特性を捨てて新しい特性を求めることは、魔法使いが武道家としての鍛錬をはじめるようなもの。
魔法使いは、魔法を使ってこそ力を発揮できる。
魔法使いの弱点ばかりを気にして、武道家を目指すようなことをするな。ということです。だったら最初から、武道家をパーティーに組み込んでしまった方がいい。
強みを活かす、ということはそういうことです。
この章の最後に、上記で簡単に紹介した4つの属性のどこに分類されるかの診断があります。よければ、本書をポチってやってみてください。
ちなみに管理人の属性はこんな感じです。
- 分析型:28%
- 構造型:28%
- 社交型:20%
- コンセプト型:24%
属性は一人につき、一つだけとは限りません。23%以上を占めるものを優位属性とするため、全体の1%ですが、全属性優位とされる人もいるようです。
管理人の場合、優位属性は、分析型・構造型・コンセプト型ですね。
これをもとに、それぞれの属性の特徴を見て行きましょう。
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「あなたの武器」の活かし方
ではそれぞれの思考パターンには、それぞれどんな特徴があるのでしょうか。
本書では、各思考パターンについて
- 日常での特徴
- 買い物するときにありがちなこと
- ビジネス現場での特徴
- 言いがちなこと
が紹介されています。「あるあるwww」と思いながらちょっと笑ってしまうこともw
個人的には身に覚えがありすぎましたww
ざっと特徴を書いていきますので、自分がどの思考パターンに当てはまるか考えてみてください。
分析型
左脳派で抽象脳の分析型の人は、物事を分析するのに長けています。
物事の根拠や目的を大切にし、メリットデメリットをしっかり見分けます。
目的のわからない会議などが嫌いで、仕事でも常に「やる意味」を求めます。
クールで仕事のできる人という印象を持たれることも多いようです。冷たい印象を抱く人もいるでしょう。
無駄なものにお金を使いたくないと思っているので、買い物に行っても、散財することはないでしょう。ケチじゃないんです。無駄が嫌いなだけで。
「要点はどこ?」
「それは合理的に思えないな」
「それって意味あるの?」
とよく言う人は分析型の思考を持っている可能性が高いです。
構造型
左脳派で具像脳の構造型の人は、堅実な人です。物事を行う上でのプロセスや、過去の経験を大事にします。
仕事をする上で、ガイドラインを好み、着実に仕事をこなす手堅い印象があります。すぐ結論に向かいたがる分析型の人とは違い、物事の過程を順序立てて説明します。
昨日何してた?と聞こうものなら、朝から順番にやったことを説明するような律儀なところがあります。
分析型が会議を「目的」から捉えるのに対して、構造型は全体の流れから捉えます。どのような過程で、目的に向かうか、といったように過程を大事にする慎重派が多いでしょう。
指示を出すとき、どういう手順でどのように進めてほしい、と過程まで指示を出すタイプは構造型の可能性が高いです。
社交型
具像脳で右脳派の社交型の人は、人を重視します。
会議でも、目的やスケジュールよりも「誰が来るか」をまず考えます。「誰のためにやることなのか」を考えることで力を発揮します。
構造型や分析型からは「情に流されやすい」ように見られることもあります。他人のことをよく見ているので、適材適所に人を配置することができるでしょう。
「この仕事はお客さんにどういう影響を与えるかな?」
「他の人のことを考えて」
などの口癖のある人は社交型の可能性が高いです。
コンセプト型
右脳派で抽象脳のコンセプト型の人は、アイディアマンが多いです。直感や感覚的なものを大事にし、新しいものへの関心が高いです。
指示をするにも問題解決も直感的。指示も「~な感じで」というニュアンスで伝えようとします。創造的で突拍子もない行動をする、変わった人が多いかもしれません。
分析型には「根拠が薄い」と思われたり、構造型には「突拍子なさすぎてついていけない」と嘆かれたりするようです。
ルーティンワークや、スケジュール通り行動することが苦手な人が多いでしょう。
思考パターンと向き不向きは関係ない
以上の分析から「ああ、私は今の仕事向いてないんだ・・・」と思う人もいるかもしれません。
たとえば、社交型だけど、やっていることはずっとパソコンに向かって文字を入力するだけだとか。コンセプト型だけど、ルーティンワークしかやってないとか。そういった現状を目の当たりにして「よし!転職しよう!」という結論に至ってしまう人もいるでしょう。
しかし、 思考パターンは向き不向きを決めるものではありません。
自分の武器として活かすものです。
自分の特性を活かすことを考えれば、職業に向き不向きはないのです。どんな仕事でも自分の特性を伸ばしていくことで、成功を収めることができます。
対人関係
第3章で各思考パターンの違いについてを紹介しました。
これらの違いを理解して、相手の思考パターンに合わせた対応が必要だと筆者は主張します。
第5章では「相手の思考パターンに合わせた対応って何なの??」という疑問に対して、具体的な答えが書かれています。
分析型→構造型
分析型→社交型
分析型→コンセプト型
といった具合に全12パターンについて、どんなアプローチや言葉を選べば、相手に通じやすいかが書かれています。具体的ですごくわかりやすいです。
あまり書くとネタバレになってしまうので、一例だけ紹介します。
分析型→構造型
分析型の人は、結論を求めて会話する傾向があります。そのため、スケジュールや手順など、過程を重視して、順番に話を進める構造型の人を追い詰めてしまうことがあります。
「・・・で、何が言いたいの?」といろいろすっ飛ばして本質を突く質問には、うまく返答できないことを知っておきましょう。
構造型の人に、物事を説明するためには、経緯を説明する必要があります。
「日報の制度を見直せ」と結論だけの指示をするのでは、構造型の人にはよくわかりません。
「今、日報は手書きで各所属長に提出することになっているよね。けど、手書きだとチェックに時間が掛かるし、共有するのが大変だよね。だから、この際、現在の制度ごと見直そうと思うんだ。全員に共有しやすくて、かつ管理が楽な方法を新しく制度化したいから考えてみてくれない?」と、どこに問題意識を感じて、どういうところを改善したいのか、順番に説明してやると構造型の人が完成度の高い仕事ができるでしょう。
分析型→社交型
社交型の人は、人間を重視して物事を考えます。
分析型の人からしたら「こういう配置は誰々さんにはちょっとやりにくいんじゃない?」など、人間に視点を置く社交型の人に対して「私情を持ち込むな」「同情してたら何もできないだろう」と一喝してしまいそうになるでしょう。
右脳派であり、偶像脳の持ち主である社交型の人は、左脳派かつ抽象脳の持ち主である分析型の人からして、理解できないことが多いかもしれません。
しかし、社交型の人はあなたにない視点で物事を考えられる貴重な存在。いいパートナーになりうるのです。
社交型の人に協力してもらおうと思えば、人に対することに言及するのが一番です。
仕事を頼む際は「なぜ、あなたに頼むのか」を説明するようにしましょう。
「いろいろ非効率に思うから、今の日報の制度を見直したいと思うんだよね。あなたは以前、作業の効率化について上司に提案してたよね。今どんな情報が求められているかを判断して、正確に情報収集ができる能力があるなとそのとき感じたんだ。今回もこの制度に関していい案を出してくれそうな気がしたから、考えて欲しいんだけどいいかな」
こういう結果がほしいから、こういう能力のあるあなたに頼む。という形で依頼すれば、社交型の人は力を大いに発揮してくれるでしょう。
分析型→コンセプト型
コンセプト型も、分析型も抽象脳に当たるため、ある程度共通項があります。
構造型や社交型のように、細かいプロセスや人間関係に目を向けず、物事を大枠で捉えることができます。
ただ、コンセプト型は、分析型とは違い、感覚重視な側面があります。アイディアを思いつきますが、その根拠は「なんとなく」といった具合に、論理性に欠けることが多いでしょう。
論理性がないからと、提案を却下してばかりだと、せっかくのアイディアを無にしてしまいます。あまり、根拠を求めないようにしましょう。
コンセプト型の人に協力を依頼する際は、ユニークなアイディアを求めるといいでしょう。
「今、日報の制度って結構メンドクサイなって思わない?もっと全体に共有しやすくて管理が楽な制度を考えて欲しいんだよね。あなたからも問題が解決できるユニークなアイディアがほしいんだけど、考えてくれる?」
みたいな感じで、ふわっとした指示を拾える能力がコンセプト型にはあります。そこを最大限に活かしましょう。
・・・・とまあ、こんな感じで、全思考パターンの人と関わる際のコツが書かれています。今回紹介できたのは、分析型だけでしたが、他のパターンもなかなか読むのが楽しかったです。
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自分を活かす方法
これまで、様々な思考パターンをみてきました。
第6章では、それらを活かして武器にする方法が紹介されています。
具体的には、それぞれが営業職・デスクワーク・企画立案・チームでの仕事をした際に、自分の特性をどのように活かせばいいかが書かれています。ここでも一例を紹介しましょう。
分析型の営業
分析型の人は、相手の問題点からアプローチを心掛けてみましょう。
相手の置かれている状況を分析し、今抱えている問題を解決する手段を、論理的に伝えること。それが営業成功の近道です。
情に流されにくい冷静さを発揮し、相手にとってどんなメリットがあるかを伝えるようにしてみましょう。
構造型の営業職
構造型の人は、相手の疑問を順序だててしっかり説明することを意識しましょう。
漠然とした「どうしたらいいのかわからない」という状態を解決できるのは、構造型の強みです。相手が疑問に思っていることに沿うように心掛けてみてください。
過去の経験を活かしやすい思考パターンであることも強みの一つです。着実にレベルアップしていくことを目指しましょう。
社交型の営業職
社交型の人は、相手から共感を得ることを目的としてみてください。
「相手がどんなことに困っているか」「どんなことが嬉しいと感じるか」といった感情面へのアプローチをすることで、相手の問題を把握するのです。
自分の提案で誰かが喜んでくれるという状況が一番のモチベーションとなる社交型の人は、成功すれば成功するほど勢いを増します。喜ぶ人の顔を意識するようにしましょう。
コンセプト型の営業
コンセプト型の人は、なんといっても発想力が強みです。営業でも最大限に活かしましょう。
最初は利益のことを考えず、相手にとっていい提案をどんどんしていきましょう。相手に「アイディアが豊富な人」という印象を与え、自分の提案力をアピールしていくと相手から重宝されます。
相手を動かすアイディアが出てこれば、自ずと成功が見えてくるのではないでしょうか。
・・・今回は営業だけしか取り上げられませんでしたが、他のシチュエーションも読んで納得のことが多かったです。あなたの職場の状況にマッチした対応を考えながら読み進めていくとおもしろさ倍増です。
まとめ
本書は「エマジェネティックス」という聞きなれない分析方法を用いた書籍です。しかし、文章もやさしく、理解しやすい内容の書籍でした。
あなたの思考パターンや、苦手なあの人への対応方法など、多くのヒントが得られる書籍です。あなたの優位属性を調べ、よりよく生きるヒントにしてみてください。
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